【源氏物語684 第21帖 乙女39】浅葱《あさぎ》の袍を着て行くことが嫌で、若君は御所へ行かなかったが 五節を機会に、好みの色の直衣《のうし》を着て宮中へ出入りすることを許された。
浅葱《あさぎ》の袍《ほう》を着て行くことがいやで、 若君は御所へ行くこともしなかったが、 五節を機会に、 好みの色の直衣《のうし》を着て宮中へ出入りすることを 若君は許されたので、その夜から御所へも行った。 まだ小柄な美少年は、 若公達《わかきんだち》らしく御所の中を遊びまわっていた。 帝をはじめとしてこの人をお愛しになる方が多く、 ほかには類もないような御 恩寵《おんちょう》を 若君は身に負っているのであった。 五節の舞い姫がそろって御所へはいる儀式には、 どの舞い姫も盛装を凝らしていたが、 美しい点では源氏のと、 大納言の舞い姫がすぐれていると若い役人たちはほめた。 実際二人ともきれいであ…
平家物語85 第4巻 いたちの沙汰〜The Tale of the Heike🥀
さて、後白河法皇は、 成親、俊寛のように自分も遠い国、 遥かな小島に流されるのではなかろうかと、 お考えになっていたが、 そういうこともないまま鳥羽殿に 治承四年までお暮しになっていた。 この年の五月十二日の正午《ひる》ごろ、 鳥羽殿の中で鼬《いたち》がおびただしく走り騒いだ。 常にないことである。 法皇は何の兆《きざし》かと自ら占われて、 近江守仲兼《おうみのかみなかかね》、 その時まだ 鶴蔵人《つるくらんど》とよばれていたのを御前に呼ばれた。 「この占いを持って安倍泰親《あべのやすちか》のもとへ行き、 しかと考えさせて、吉凶の勘状を取って参れ」 仰せを受けた仲兼は、安倍泰親のもとへ急いだが…
私本太平記1第1巻 下天地蔵1〈げてんじぞう〉〜The Taiheiki🍶
まだ除夜の鐘には、すこし間がある。 とまれ、今年も大晦日《おおつごもり》まで無事に暮れた。 だが、あしたからの来る年は。 洛中の耳も、大極殿《だいごくでん》のたたずまいも、 やがての鐘を、 偉大な予言者の声にでも触《ふ》れるように、 霜白々と、待ち冴えている。 洛内四十八ヵ所の篝屋《かがりや》の火も、 つねより明々と辻を照らし、 淡い夜靄《よもや》をこめた巽《たつみ》の空には、 羅生門の甍《いらか》が、夢のように浮いて見えた。 そこの楼上などには、いつも絶えない浮浪者の群れが、 あすの元日を待つでもなく、 飢《う》えおののいていたかもしれないが、 しかし、 とにかく泰平の恩沢《おんたく》ともい…
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