【源氏物語684 第21帖 乙女39】浅葱《あさぎ》の袍を着て行くことが嫌で、若君は御所へ行かなかったが 五節を機会に、好みの色の直衣《のうし》を着て宮中へ出入りすることを許された。
浅葱《あさぎ》の袍《ほう》を着て行くことがいやで、 若君は御所へ行くこともしなかったが、 五節を機会に、 好みの色の直衣《のうし》を着て宮中へ出入りすることを 若君は許されたので、その夜から御所へも行った。 まだ小柄な美少年は、 若公達《わかきんだち》らしく御所の中を遊びまわっていた。 帝をはじめとしてこの人をお愛しになる方が多く、 ほかには類もないような御 恩寵《おんちょう》を 若君は身に負っているのであった。 五節の舞い姫がそろって御所へはいる儀式には、 どの舞い姫も盛装を凝らしていたが、 美しい点では源氏のと、 大納言の舞い姫がすぐれていると若い役人たちはほめた。 実際二人ともきれいであ…