【源氏物語663 第21帖 乙女18】大臣は、自分の恋人の部屋から廊下に出て行く時 女房達の部屋から話が聞こえた。そこで 雲居の雁と夕霧の恋に気がついてしまった。
大臣は帰って行くふうだけを見せて、 情人である女の部屋にはいっていたが、 そっとからだを細くして廊下を出て行く間に、 少年たちの恋を問題にして語る女房たちの部屋があった。 不思議に思って立ち止まって聞くと、 それは自身が批評されているのであった。 「賢がっていらっしゃっても甘いのが親ですね。 とんだことが知らぬ間に起こっているのですがね。 子を知るは親にしかずなどというのは嘘ですよ」 などこそこそと言っていた。 情けない、自分の恐れていたことが事実になった。 打っちゃって置いたのではないが、 子供だから油断をしたのだ。 人生は悲しいものであると大臣は思った。 すべてを大臣は明らかに悟ったのであ…
2024/05/05 12:23